肺炎球菌ワクチンの接種が変わります
- 2026年2月5日
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新しい肺炎球菌ワクチンが開発され、今年から肺炎球菌ワクチンの接種の方向が変わりますので、解説したいと思います。
2025年度(2025年4月1日から2026年3月31日)に65歳になる方(すでになったを含む)は公費補助で接種できるのは3月31日ですので、接種券をお持ちの方は3月31日までに忘れずに接種を受けてください。
- 肺炎球菌とは?
肺炎球菌は、私たちの鼻やのどの中に普通に存在している(常在している)こともある身近な細菌です。しかし、免疫力が落ちている時などに肺や血液、脳に侵入すると、深刻な病気を引き起こします。
- 肺炎: 肺に炎症が起き、激しい咳や痰、高熱、呼吸困難を引き起こします。
- 菌血症・敗血症: 細菌が血液の中に入り込み、全身に回ってしまう命に関わる状態です。
- 髄膜炎: 脳や脊髄を包む膜に炎症が起き、後遺症が残ったり亡くなったりすることもあります。
- 「莢膜(きょうまく)」と「血清型」とは?
肺炎球菌の表面は、**「莢膜(きょうまく)」**というネバネバしたカプセルのような膜で覆われています。この膜がバリアとなり、体内の免疫細胞(白血球など)の攻撃から菌を守っています。
- 血清型(けっせいけい): 莢膜の成分(多糖体)の違いによって、肺炎球菌には約100種類ものタイプがあります。これを「血清型」と呼びます。
- 血清型置換(けっせいけいちかん): ワクチンで特定の血清型を予防できるようになると、その血清型による病気は減りますが、代わりにワクチンに含まれていない別の型の菌による病気が増えることを言います。そのため、より多くの型に対応した新しいワクチンが開発され続けています。
- ワクチンが病気を防ぐ仕組み
肺炎球菌ワクチンを接種すると、体の中に肺炎球菌の「莢膜」に対する**抗体(武器)**が作られます。 あらかじめ武器を用意しておくことで、実際に菌が体に入ってきたときに、バリア(莢膜)を無力化して免疫細胞が菌をやっつけやすくします。これにより、重症化を高い確率で防ぐことができます。
- ワクチンの種類:多糖体ワクチンと結合型ワクチン
現在、日本で使用されているワクチンには大きく分けて2つのタイプがあります。
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特徴 |
多糖体ワクチン(23価) |
結合型ワクチン(13価・15価・20価・21価) |
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主な対象 |
その年度に65歳になる人 |
子ども、および高齢者・ハイリスク者 |
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カバーする血清型の数 |
23種類 |
13〜21種類 |
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免疫の仕組み |
比較的シンプルに免疫を誘導 |
多糖体の成分にタンパク質を結合させ、より強力に免疫を誘導 |
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免疫の持続性 |
5年程度で低下しやすい |
免疫の記憶が長く残りやすい |
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主な効果 |
重症の肺炎球菌感染症の予防 |
重症の肺炎球菌感染症の予防 + 鼻の奥の菌(定着菌)を減らす効果 |
補足:最新の「21価ワクチン」について
新しく登場した21価結合型ワクチンは、特に成人の肺炎の原因となりやすい血清型を重点的にカバーするように設計されています。これまでの結合型ワクチンよりも、より効率的に成人の肺炎を予防することが期待されています。
- どのように接種を受ければよいのか(最新版)
年齢やこれまでの接種歴によって、最適なスケジュールが異なります。
お子様の場合
- 定期接種として、生後2ヶ月から「結合型ワクチン(15価または20価)」を順次接種します。
65歳以上の高齢者・ハイリスクの方
現在、複数の選択肢があります。
- 定期接種(23価多糖体ワクチン):2026年3月31日まで
- 定期接種(20価結合型ワクチン):2026年4月1日以降
※定期接種は65歳になる年度に1回のみ自治体の公費助成で受けられます。
- 任意接種(最新の結合型ワクチン):
より強固な免疫を作るために、20価や21価の結合型ワクチンを先行して接種したり、23価ワクチンの接種から1年以上あけて20価や21価の結合型ワクチンを追加で接種したりする方法があります。なお今年4月以降始まる20価結合型ワクチンを接種した場合には、その後の追加接種が推奨されるのかは、現時点では明らかにされていません。
重要: 21価ワクチンなどの新しい選択肢が増えたことで、お一人おひとりの持病や年齢に合わせた「オーダーメイド」の接種プランが立てやすくなっています。
