加熱式タバコを吸っている方の禁煙治療について
- 2026年2月24日
- 禁煙外来
先日禁煙外来にいらした方でニコチン依存症に該当しながら、「自分は加熱式たばこを吸っているのでニコチン依存症ではない」と主張され、ニコチンパッチを用いる禁煙治療を拒否された方がいました。加熱式たばこ喫煙者のニコチン依存について誤解があるため、解説します。
- 加熱式タバコのニコチン量に関する実態
「加熱式タバコは健康被害が少ない」というイメージが浸透していますが、依存性の中心であるニコチンについては以下の点に注意が必要です。
日本国内において、加熱式たばこのニコチン含有量のパッケージ記載は、たばこ事業法およびその関連規則によって記載義務がありません(紙巻たばこには義務があるが、加熱式たばこにはない)。このため、加熱式たばこにはニコチンが含まれていないという誤った認識が多く見受けられます。
- 実際のニコチン含有量: 各種研究により、加熱式タバコの主流煙には、紙巻きタバコと比較して約70%〜100%程度のニコチンが含まれていることが判明しています。
- 依存性の維持: 臭いや煙が少ない一方で、脳に供給されるニコチン量は紙巻きタバコと大差ありません。そのため、ニコチン依存症の状態は改善されず、むしろ「いつでも吸いやすい」環境が依存を深めるリスクもあります。
- 成分表示の不在: 日本の法律では加熱式タバコにニコチン・タール量の数値表示義務がないため、利用者が摂取量を過小評価しやすい傾向にあります。
- 日本における禁煙治療の現状
加熱式タバコの使用者は、紙巻きタバコ使用者と同様に「禁煙外来(保険適用)」を受診することが可能です。
保険適用の主な要件
- ニコチン依存症スクリーニングテスト(TDS): 5点以上。
- ブリンクマン指数(1日の本数 × 喫煙年数): 35歳以上の場合、200以上(加熱式も本数としてカウント)。
- ※35歳未満は、この指数の縛りがありません。
- 即時禁煙の意思: 直ちに禁煙を希望していること。
治療のポイント
加熱式タバコは不完全燃焼を伴わないため、呼気一酸化炭素(CO)濃度が低く出る傾向にありますが、現在の診断基準では、使用状況の自己申告に基づき適切に治療が開始されます。
- 禁煙を推奨する理由
以下の3点を強調したいと思います。
- 「健康リスクの持続」: タール(有害物質)は一部カットされていますが、ニコチンによる血管収縮や心拍数上昇は続いており、心血管疾患のリスクは依然として残っています。
- 「依存の構造」: 加熱式は「吸いやすさ」ゆえに、無意識に本数が増えたり、チェーンスモークに陥りやすい特性があります。
- 「医学的サポート」の有効性: 根性に頼る禁煙ではなく、ニコチンパッチを使用することで、離脱症状を抑えながら科学的にやめる方法を提案いたします。