院長が第65回日本呼吸器学会学術講演会で発表しました
- 2025年4月20日
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東京国際フォーラムで開催された第65回日本呼吸器学会学術講演会で院長が当院で行っている診療のまとめを発表しました。
タイトルは「急性咳嗽の初期診療におけるFeNO測定の有用性-プライマリケアクリニックにおける後方視的観察研究」です。
急性咳嗽とは、出始めから3週間以内の咳のことで、ほとんどが感染性咳嗽(=風邪の咳)とされていました。
喘息の咳は風邪の咳と違って普通の咳止めではよくなりません。当院では急性咳嗽でも単なる風邪の咳とは異なると思われる患者様にはFeNO(呼気一酸化窒素)の測定を行い、「喘息の咳」「感染後の咳」「アトピー咳」「後鼻漏」「逆流性食道炎の咳」などを鑑別するようにしています。世間ではこのような検査を行わずにちょっと咳が続くと咳喘息として不必要な吸入ステロイドが処方されている患者様や、本当に咳喘息であれば半年以上の吸入ステロイド治療が必要にもかかわらず、咳が改善すると吸入ステロイドが中止されている不完全な治療を受けている患者様が多くおられます。当院の集計では急性咳嗽の中でFeNOを測定したうち喘息の気管支の炎症を示す2型炎症の患者様(FeNO 25ppb以上)が半数以上いらしたこと、それらの患者様は吸入ステロイドで治療を行いますが、治療を始めた患者様の95.6%が咳がよくなったこと、逆に2型炎症を示さない患者様(FeNOが25ppb未満)には「感染後の咳」「アトピー咳」「後鼻漏」「逆流性食道炎の咳」等を区別しそれぞれに適した吸入ステロイド以外の薬をお出ししていますが、91.6%で咳がよくなりました。
診断基準では咳喘息は8週間以上続く咳とされていますが、患者様は誰でも8週間も咳が続いて欲しくはないはずです。FeNOを早い時期に測定することで、治療に結びつけていること、つまり必要な患者様には吸入ステロイドを、また不要なステロイドを使用せずに咳をよくすることができることを発表できました。
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ある高名な先生からも「8週間で咳喘息を診断するという態度は患者さんの立場からはあまりにも遅すぎると感じていました。このような実地臨床に即した知見と治療方針がガイドラインに盛り込まれることを期待します」といったご評価をいただきました。
昨年まではこの呼吸器学会学術講演会ではずっと座長(つまり発表・討論の司会者)をやっていました。自分で発表するのは久しぶりでしたが、若い頃に戻った気分で緊張感を持って発表できました。楽しかったです。